
贈与税は、個人から財産をもらったときに受贈者(個人)にかかる税金です。
ただし、受贈者が個人でなくとも、代表者または管理者の定めのある人格のない社団や財団、又は公益法人等で、受贈することにより租税の負担を不当に減少させる場合などは、これらを個人とみなして贈与税が課税されます。
贈与を受けた人が、財産を取得したときに国内にいる場合、又は、国外にいる場合によって課税されるかどうかが以下のように変わります。
(1)国内に住所があるとき
取得した財産の所在が国内か国外かを問わず、贈与により取得した全ての財産が課税されます。
※ただし、以下の条件を満たすものについては、国内、国外を問わず贈与により取得した全ての財産について課税されます。
(ⅰ)贈与を受けた人が日本国内に住所を有しないで、
(ⅱ)日本国籍を有しており、
(ⅲ)贈与を受けた人と、贈与をした人のいずれかが贈与前5年以内に国内に住んだことがある。

☆住所とは?・・・生活の本拠のことで、客観的事実によって判定されます。
・外国で生活している者→学術等の取得のため留学している者で、日本国内にいる者の扶養親族になっている者や、転勤等で短期間(おおむね1年)滞在している者は、日本国内に住所を有するものとされます。
贈与した財産の取得時期がいつであるかは、次の場合によります。
贈与財産の取得時期は、
(1)書面によるものはその契約書の効力発生のとき
(2)書面によらないものはその履行のとき
・・・履行前であれば取り消すことが出来ます。
(3)停止条件付の贈与については、その条件が成就したとき
(4)農地等は、農地法3条又は5条の規定にしたがって許可を要する場合は、許可があった日、届出によるものは届出の効力が生じた日(届出の受理日)として扱われます。
※所有権等の移転の登記または登録の目的となる財産(例えば、不動産贈与登記)で、その贈与の時期が明確でないときは、とくに反証のない限り、その登記または登録があったときに贈与があったものとして取り扱うものとされています。
(相続税法基本通達1の3・1の4共-8~11)
贈与税の計算は、まず、その年の1月1日から12月31日までの1年間贈与によりもらった財産の価額を合計します。
続いて、その合計額から基礎控除額110万円を差し引きます。
次に、その残りの金額に税率を乗じて税額を計算します。

(例)贈与財産の価額の合計が400万円の場合
(400万円-110万円)×15%-10万円=33.5万円(贈与税額)
※本来、相続時には贈与財産は相続財産には加算されませんが、相続開始前3年以内に被相続人から贈与されたものは相続財産に加算されるので、注意が必要です。
この場合には、加算された贈与財産に対する贈与税額は、相続税額から控除されます。
1・相続時精算課税とは
【1】概要・・・贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。
この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
【2】適用時期・・・平成15年1月1日以後に贈与により取得した財産に係る相続税又は贈与税について適用します。
【3】贈与をする人(贈与者)・・・贈与をした年の1月1日において65歳以上である者。
【4】贈与を受ける人(受贈者)・・・贈与者の推定相続人である直系卑属のうち、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上である者。
【5】適用手続・・・相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は、贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期限内に 「相続時精算課税選択届出書」(贈与者ごとに作成)を贈与税の申告書に添付し、贈与税の納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
受贈者ごとに、又、贈与者ごとに適用を受けるかどうか検討します。
※注意点→届出書を提出すると、その届出書に係る贈与者との間では、本課税を適用した年分以後暦年贈与は出来なくなります!
また、提出した届出書は撤回することは出来ません!
【6】贈与税額の計算・・・(ア)課税価格から(イ)特別控除額を控除した後の金額に一律20%の税率を乗じて計算します。
(ア)課税価格・・・特定贈与者ごとに、その年中において贈与により取得した財産の価額の合計額をもって贈与税の課税価格とします。
(イ)特別控除額・・・特定贈与者ごとの相続時精算課税に係る贈与税の課税価格からそれぞれ次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除します。
ⅰ、2,500万円(前年以前この特別控除額を適用し控除した金額がある場合には、その金額の合計額を控除した残額)
ⅱ、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格
【7】相続税額の計算・・・相続時精算課税を選択した年分以後の年に当該特定贈与者から贈与を受けた財産の贈与時における価額と相続財産の価額を合算した価額を相続税の課税価格とし、相続税額から相続時精算課税における贈与税の税額に相当する金額を控除します。
又、相続税額から控除しきれない贈与税額については、還付を受けることが出来ます。
【8】暦年課税と相続時精算課税との比較
★贈与のあった年の中途において贈与者が死亡した場合★
(ア)贈与を受けた年の翌年の3月15日
(イ)贈与者についての相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月を経過する日
→受贈者は、いずれか早い日までに届出書を相続税の納付地所轄税務署長に提出します。
★年の中途において推定相続人となった者に対する相続時精算課税の適用★
推定相続人となった時前に、その者からの贈与により取得した財産については、相続時精算課税の適用は出来ません。
平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する一定の家屋の新築若しくは取得又は一定の増改築等の対価に充てて新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日以後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金のうち一定金額について贈与税が非課税となります。
1、贈与する人(贈与者)
年齢要件はないので、65歳未満であっても贈与できます。
2、贈与を受ける人(受贈者)
次の要件を満たす人をいいます。
(1)住宅取得等資金の贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の者であること。
(2)住宅取得等資金の贈与をした者の直系卑属である推定相続人であること。
(3)贈与を受けたときにおいて国内に住所を有する者であること(住所を有しないが日本国籍を有する一定の者も含む。)。
(4) 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
(注)平成22年までの贈与については、上記(4)の要件を満たさない場合でも非課税の特例を適用できますが、その場合の非課税金額は500万円が限度となります。
3、住宅取得等資金とは
次のいずれかに掲げる新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭をいいます。
(受贈者の配偶者その他の受贈者と特別の関係がある者からの取得または増改築等する場合を除きます。)
(1)住宅用の新築または建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得
(2)既存住宅用家屋の取得(敷地の取得も含む。)
(3)受贈者が所有している家屋につき行う増改築等
4、一定の家屋とは
一定の家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。
なお、居住の用に供する家屋が2以上ある場合には、その者が主として居住の用に供すると認められる一の家屋に限ります。
(1)家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上であること。
(2)購入する家屋が中古の場合は、家屋の構造によって次のような制限があります。
(1)マンション等の耐火建築物の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること。
(2)耐火建築物以外の建物の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されものであること。
※平成17年4月1日以後に取得する中古住宅のうち、一定の耐震基準を満たすものについては、建築年数の制限はありません。
(3)床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。
5、一定の増改築とは
一定の増改築とは、その者が所有し、居住の用に供している家屋について日本国内において行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事のうち一定のもので次の要件を満たすものをいいます。
(1)増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。なお居住用部分の工事費が全体の工事費の2分の1以上でなければなりません。
(2)増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されること。
(3)増改築等後の家屋の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上であること。
6、非課税の金額
次の区分により、受贈者1人について次の金額が非課税となります。
(1) 平成22年分の贈与
イ 平成21年分で非課税の特例を適用している場合
1,500万円から平成21年分で適用した非課税金額を控除した残りの金額となります。
上記2の(4)の要件を満たさない場合は、500万円から平成21年分で適用した非課税金額を控除した残りの金額となります。
ロ 平成21年分で非課税制度を適用していない場合
1,500万円となります。
上記2の(4)の要件を満たさない場合は、500万円となります。
(2) 平成23年分の贈与
イ 平成22年分で非課税の特例を適用している場合
1,500万円から平成22年分で適用した非課税金額を控除した残りの金額となります。
ロ 平成22年分で非課税の特例を適用していない場合
1,000万円となります。
(注)平成21年分で非課税の特例を適用している場合又は平成22年分で上記2の(4)の要件を満たさないときの非課税の特例(限度額500万円)を適用している場合は、平成23年分で非課税の特例を適用することはできません。
7、申告手続き
この特例の適用を受けるためには、贈与税の期限内申告書にこの特例を受ける旨を記載するとともに、住民票の写し、登記事項証明書など一定の書類を添付しなければなりません。
・概要
婚姻期間が20年以上である配偶者から居住用不動産の贈与を受けた場合には、贈与税の計算上、配偶者控除として、最高2,000万円の特別控除が認められています。
・婚姻期間の判定
婚姻の届出のあった日から贈与の日までの期間により計算します。よって、入籍されていない期間は含まれません。
又、1年未満の端数は切り捨てます。
・回数
一生に一回のみ、2,000万円迄です。ただし、贈与者が異なる配偶者からの贈与なら、婚姻期間20年以上などの要件を満たした場合、2度配偶者控除が受けられます。
・条件
贈与を受けた年の翌年3月15日(贈与税の申告期限)までに、受贈者が居住し、引き続き居住する見込みがあることです。
・具体的な例
《配偶者に土地のみを贈与する場合》
配偶者から土地のみの贈与を受けた場合、その家屋の所有者がその配偶者と同居する親族で、贈与を受けた配偶者がその土地の上にある建物に居住していれば、配偶者控除の適用を受けることができます。
《同じ敷地内(一筆の土地)に夫婦の家と子供の家の2棟が建っている場合》
この場合、土地全てについて、贈与税の配偶者控除の適用はありません。
一部(夫婦の家の敷地のみ)について適用があります。贈与する土地(持分)のうち、子供の家の敷地部分は適用がありません。
なお、2棟の建物のそれぞれの敷地部分を分筆した場合には、夫婦の家の敷地全てについて適用があります。もちろん、夫婦の家にも適用があります。
・適用を受けるための添付書類、必要書類
この制度の適用を受けるためには、贈与税の申告書を申告期限までに提出するとともに、次の書類を添付しなければなりません。
・戸籍謄本
・取得した居住用不動産の登記簿謄本
・住民票の写し(居住後のもの)
建物等の所有を目的として使用貸借による土地の借受けがあった場合には、使用貸借からは、借地権は発生せず、また、土地の使用貸借に係る使用権の価格は「0」として取り扱うこととされているので、贈与税は課税されません。
また、地代相当額の経済的利益については、本来は、贈与税の課税対象となります(相法9)が、その利益を受ける金額が少額である場合又は課税上弊害がないと認められる場合には、しいてその課税をしないものとされています(相基通9-10)。
(相続税関係個別通達昭48直資2-189(使用貸借通達))
・地代がタダ→使用貸借となり、贈与税はかかりません。
・少額な地代→使用貸借とみなされ、贈与税はかかりません。
※少額な地代とは、固定資産税相当額をいいます。
・世間一般の相場の地代→親から子へ借地権が贈与されたとみなされ、贈与税がかかります。
※世間一般の地代相場が安いのは、借地をした時に通常は多額の一時金(権利金)を支払うからです。
この一時金(権利金)なしに安い地代を親に支払ったのでは課税の公平を欠くことになるので、一時金は親から子に贈与されたものとされます。
一時金は借地の権利金のことで、借地権の対価を意味します。
・高額な地代→贈与税はかかりません。
親名義の建物に子供が増築した場合には、民法上、増築部分についても、建物の所有者である親の所有物となります。
この場合、親が子供に対して何らの対価も支払わないときには、親は子供から利益を受けたものとして贈与税が課税されることになります。
しかし、子供が支払った建築資金に相当する建物の持分を親から子供へ移転させて共有とすれば、贈与税は課税されません。
なお、共有とした場合、親は建物の持分の一部を子供に譲渡したことになりますので、譲渡所得として所得税が課税される場合があります。
この場合、マイホームを売ったときの特別控除の特例は適用されませんので、注意してください。
※マイホームを売ったときの特別控除の特例とは
マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。
これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例といいます。
通常貸家の目的とされている宅地、すなわち、所有する土地に建築した家屋を他人に貸し付けている場合のその土地を、貸家建付地といいますが、その土地の贈与の価額は、次の算式により評価します。
(算式)
貸家建付地の価額=自用地とした場合の価額-自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合
しかし、子が使用貸借により親の所有地に建物を建築して他人に有償で貸し付けている場合に、その土地の贈与を受けたときの贈与税の課税価格は、貸家建付地として評価した価額ではなく、自用地として評価した価額となります。
これは、使用貸借による土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われていることによるものです。