
今回の新公益法人会計基準は、民法第34条に基づいて設立される社団及び財団形態の公益法人を対象としています。
したがって、学校法人や宗教法人などの特別法上の法人は対象になりません。
公益社団法人・公益財団法人は、公益認定を受けることにより、一般社団法人・一般財団法人と明確に区分され、社会的にも信用を得ることができます。そして、税制面でも寄附税制や収益事業課税など優遇措置を受けることができます。しかし、公益社団法人・公益財団法人は、認定時だけでなく、その後の運営等においても多くの制限を受けることになります。
一般社団法人・一般財団法人は、公益社団法人・公益財団法人のように行政庁の監督をうける必要はありません。そして、公益性の有無に関係なくどのような事業も行うことができます。また、公益社団法人・公益財団法人ように税制面で多くの優遇措置をうけることはできないですが、非営利型法人となることにより、全所得課税ではなく収益事業課税の適用をうけることができます。
従来の法人税制では、法人が一度設立されると全所得課税の法人は消滅するまで一貫して全所得課税であり、収益事業課税の法人も消滅するまで一貫して収益事業課税でした。
しかし、新公益法人税制では、全所得課税の法人がと途中で収益事業課税になったり、収益事業課税の法人が途中で全所得課税の法人になったりすることが可能になりました。
収益事業課税法人が全所得課税法人に移行する場合には、それまでの非課税所得の累計額を帳簿価額の財産法により計算して、一時に益金算入する。一方、全所得課税法人が収益事業課税法人に移行する場合には、同一の法人であるにもかかわらず、それぞれをまったく別個の法人として、移行前の法人を解散とみなし、移行後の法人を設立とみなして課税関係を整理する。
現在の公益法人の機関の一つである理事会や評議員・評議員会と、一般社団・財団法人法に規定される理事会や評議員・評議員会は、法律上は「似て非なるもの」であり、従来の理事会や評議員・評議員会がそのまま一般社団・財団法人法の理事会や評議員・評議員会になるわけではありませんが、一般社団・財団法人法の施行後も、現在置いている理事会や評議員・評議員会は、そのまま、
法人内部の機関としては(もちろん所管官庁からの指導に基づく機関としても)有効に存続します。
ただし、一般社団・財団法人法に基づく理事会や評議員・評議員会を置いた場合は、権限の重複や紛らわしさを避けるため、施行前からある理事会や評議員・評議員会は廃止するか、あるいは、名称を変更することが望ましいでしょう。
施行後すぐに変えなければならないということはありません。
ただし、施行後に定款を変更して一般社団・財団法人法に基づく理事会を置いた場合は、その後に選任する理事・監事の任期や選任方法は一般社団・財団法人法に従うことになります。同様に、一般社団・財団法人法に基づく会計監査人や評議員・評議員会を置いた場合は、その後に選任する監事の任期や選任方法は一般社団・財団法人法に従うことになります。
新制度の「公益目的事業」は、公益法人認定法の別表に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいいます。一つの事業が複数の種類の事業に該当することもあり得ます。「不特定かつ多数の者の利益」といえるためには、その事業により提供される財・
サービス等の直接の受益者が特定の範囲の者に限られず、かつ、受益者の数が多くなければなりませんが、たとえば、まだ数人の患者しか発見されていない難病の研究を行う事業のように、直接の受益者の範囲が限られていたとしても公益目的事業と認めることが適当と考えられる事業もあり得ます。
現在公益事業として行っている事業が公益目的事業と認められるか否かについては、実際の公益認定の際に、民間有識者からなる国及び都道府県の合議制の機関において、個々の事業に関する具体的な事実関係に即して、一つ一つ丁寧に議論を尽くして検討されることとなります。
なお、公益法人認定法の別表に掲げる事業のいずれかに該当し、かつ、不特定多数の者の利益の増進に寄与する事業であれば、税務署に届け出ている「収益事業」であっても、公益目的事業であると認められます。
公益法人が一般社団法人・一般財団法人に移行した場合には、公益法人として保有していた財産の性格上、その保有していた財産に相当する額については、私益のために社員等の構成員や設立者に帰属させることを防止し、その額が公益のために支出される必要がありますが、そのために法人の保有する財産を国や地方公共団体が没収したりすることはありません。
一般社団法人・一般財団法人へ移行しようとする公益法人は、基本的に、一般社団法人・一般財団法人に移行した後に移行の際の正味財産額を基礎として算定した額(公益目的財産額)に相当する金額を計画的に公益の目的のために支出するための計画(公益目的支出計画)を作成し、その公益目的支出計画に従って、一般社団法人・一般財団法人へ移行した後に公益目的財産額に相当する金額を最終的に公益の目的のために支出してもらうことになります。
公益目的支出計画に記載することができる事業等は、次のいずれかです。
1.継続事業
公益法人が一般社団法人・一般財団法人への移行の認可を受ける前から継続して実施する事業をいいます。
ただし、その法人の本来事業でないもの、一般社団法人・一般財団法人に移行する前に所管官庁に公益に関する事業としてふさわしくない旨の指導を受けていた事業については、公益目的支出計画に記載できる事業とすることはできません。
2.公益目的事業
公益法人認定法に規定する公益目的事業をいいます。
当該法人が一般社団法人・一般財団法人への移行の認可を受ける前から継続して実施する事業が公益目的事業に該当するものであれば、公益目的事業として公益目的支出計画に記載することができます。
また、移行前から実施していなかった事業であっても、一般社団法人・一般財団法人に移行する際に新たに公益目的事業を実施する場合には公益目的支出計画に記載することができます。
3.公益のための寄附
当該法人の目的に類似する目的を有する公益法人認定法に基づく公益法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人、独立行政法人、国立大学法人、大学共同利用機関法人、地方独立行政法人等に対する寄附、国、地方公共団体に対する寄附をいいます。